液晶モニタの突然死と解剖


突然死

 つい先日の朝のことだった。

 部屋の模様替えをして、いままで別々に設置していた液晶モニタを2台並べたら、
おお〜、快適な環境になったと喜んでいたのに。

 ついさっきまで正常に表示していたのに、ちょっと目を離したスキに、こんな表示になっ
ていた。

 ゲッ、なんだこれは!!

 買って2年しかたたないのに、もう壊れたのか? まさか、そんなことは・・・たぶん、
移動したときにコネクタがゆるんでいたんだろう。あるいはパソコンのビデオカードが
浮いているのかもしれない。
 そう思って、コネクタを抜き差ししたり、別のパソコンに差し替えたが表示が出ない。
電源を入れ直してもダメ。ボタンを押してもメニュー(OSD)表示が出ない。

 これは重傷だ。男は、そう思った。(トモロヲ)


患者

 これが今回の患者さん。もう死んでるとしたら仏さん。(をいをい)
 裏ブタのシール写真を示します。

 型式 XEN−1510P
 メーカー XENON
 MADE IN KOREA

 ナニ?キセノンって読むの? 某観音(CAN●N)を連想してしまう。


簡単に直せないかな?

 目視でわかるような故障だったら、そう心配はいらないのだが・・・目視でわかるという
のは、たとえばハンダ割れ、コンデンサ破裂、ヒューズ断、コネクタのゆるみ・・・など。
そういう故障であることを願った。

 いろいろな機器での電解コンデンサの液漏れは比較的多く、なにしろ電解液だから、
こいつが他の回路をショートさせる事がある。意外に広がるもので、周囲2〜3cmぐらい薄く
広がっていた事もある。薄い油のようなもので、基板の表面にうっすら積もったホコリに
それがにじんでいるように見えていた事もある。見えない事もあるから一度、アルコールなど
で洗浄したほうがいい。
 電解液がSOPパッケージのICの下にしみこみ、そこでショートしていた事例があった。この
場合は、SOPを取り外して、アルコールでよく洗い、パターンを点検してから元通りにICをハン
ダ付けした。
 電解液は基板パターンも腐食させる。基板表面には緑色のレジスト被膜があるが、電解液に
対しては無力のようだ。電解コンデンサの下に電源パターンが通っていたのが、電解コンデンサの
足の周囲のパターンがすっぽり溶けてなくなっていたために断線し電源が入らなかった例がある。
 部品も腐食させる。抵抗に浸透し、オープン状態になっていた事もある。


 さて分解前に、電源アダプターの電圧が正常値であることは先に確認した。

 さっそく裏ブタを開けようと、ネジを4本ゆるめたが、フタがなかなかはずれない。どうした
んだ?えらく固いぞ。スキマにマイナスドライバーをつっこんでみたが広がらない。傷が
つくばかりだ。

 あれこれ格闘したあげく、マイナスドライバーでスキマをあけて、ピンセットのお尻?のほう
をつっこんでスキマを確保、さらにマイナスドライバーで少しずつこじ開けていけば、なんとか
なりそうだとわかった。
 かなりムキになっていた。(^^;)

 最後は、バキイッ、と強引にひっぱったので、上の写真のように、爪を折ってしまった・・・。
 もうすでに、修理に出すことも考えてない(笑)。

 ところで、この爪の入り方は変だと思う。上手に説明できないが、上の写真では、
鉄板にひっかかる形になっている。しかし構造的に見て、プラスチックの留め具の左側から
爪をひっかけるのが自然なように思える。

 裏ブタの爪は、次の写真のように、みんな内側を向いているから、やはり、さっきの写真の
ように鉄板にひっかかっているのは異常だと考える。
 工場での組み立て時に、ひん曲がっていたのか、ズレていたのを強引に押し込んだのかも
しれない?だから爪が抜けなくて、フタがあけにくかったし爪が折れたんだろう。


 開けにくい理由がわかったが、それにしてもなんてダサいんだろう、この裏ブタの通気穴の
デザインは・・・。


解剖

 液晶モニタを調べるのは今回が初めてだ。中はどうなってるのだろう?

 いつもなら、買った物は何でもバラしているのだが、面倒くさいとバラさなかったりする(いい
加減)。この液晶モニタもそうだった。ちなみに、洗濯機も冷蔵庫もバラしていない。

 意外にスッキリだな! (こんなにスペースがあるなら電源アダプタも内蔵してくれれば)


 右の基板には、ブリキをひん曲げたようなシールド板がかぶさっていたが、撮影時に取り外した。
左のインバータ基板には、シールド板がかぶさったままになっている。

 右下に銅箔テープがあるが、これは液晶パネルへの接続コネクタにかぶせてあるもの。そして
下の緑色のものは、操作ボタンの基板だ。

 次に、基板のみの写真を示す。


 まず左のコネクタは電源アダプタのジャックと、VGAコネクタである。
 上の2つは、左のが操作ボタンへ、右のがインバータ基板に接続されている。
 また、下のコネクタは、液晶パネルへ接続されている。

 基板に載っている部品を調べてみよう。

 ↑中央付近のチップは、TS80C32X2-MCBだが、これはワンチップマイコン
と思われる。この写真には写っていないが、左側にPLCCのROMがある。
そのROMにはシールが貼られており、XENON U9 V:2.0と印字されている。

 右上のもの、そして右下のものはいずれもナショセミのレギュレータで、
LM2596S-5.0と、LM1085IS-3.3である。型名にそのまま出力電圧が含まれて
いる。
 データシートは、ここで検索のところに上記の型名を入力すること。いずれも
日本語データシートがある。
 あとで書くが、こいつらの入力と出力ピンがどれかデータシートで調べておいて
テスターで電圧が正常か確かめる。



 ↑なんだsageって。某掲示板関係か。ageとかsageとか。
 一般のICみたいにLM2596S-5.0とか、そういう型名じゃなくて、いきなり
Cheetah4か。9949ってのはロット番号だろう。そしてJAPANとある。

 googleで、sage+cheetah4として検索すると色々でてくる。NECの液晶モニタにも
採用されているようだ。
 sageがメーカー名だと思うが、www.sageinc.comはつながらない。何度やっても
ダメだった。
 チップの役割は、次に書くAD9884Aからの信号を液晶パネルへ送る中継ぎのよう
なものか?



 ↑ANALOG DEVICESのAD9884Aである。
 こいつのデータシートはココで、やはり「サーチ」をクリックしてAD9884Aと入力する。

 データシートによれば、こいつは、アナログRGB信号をそれぞれA/D変換して、各色8ビッ
トのデータとして出力するものだ。それと同期信号からクロックを生成する機能も含んでいる。

 そういえば液晶モニタの機種によっては、一般のVGAコネクタじゃなくて、専用のインター
フェースというか、デジタル接続というのか、現物を見たことがないので詳しくないのだが、
そういうのがあるようだ。
 その場合は、おそらく、このAD9884Aのようなアナログデジタル変換の石がなくて、いきな
り、さっきのsageに入っているのだろうか。


 それから、インバータ基板だが、正常に機能しているし、特に深く調べない。


 高圧の圧の字が変わっている。
 この基板は、2つの蛍光管を駆動するもので、同じ回路が対称にレイアウトされている。


 そして、さっきの基板から液晶パネルへの接続部分。最初の方の写真で、銅箔テープが
貼られていた部分だ。


 こいつは結構ゆるくて、少し不安があるが、接触不良もなかったし端子のハンダ割れもなかった。


切り分け

 修理は切り分けが基本である。
 たとえば電源が悪いのにメイン基板ばかり調べていたら意味がない。当たり前の話だが。
 故障個所をおおざっぱに絞り込んでそこを集中的に調べる。

 この液晶モニタは、電源、基板、液晶パネル、インバータと、4つの要素から構成されている。
このうち、電源はテスターで電圧を確かめて問題なかったし、画面は光っているからインバータにも
問題はない。だからあとは、基板と液晶パネルを調べれば良い事になる。

 まずは基板だが、さっきも書いたようにまず電源まわりからという事で、2つのレギュレータの電圧
を確かめた。入力、出力、いずれも正常。電解コンデンサも異常無し。

 さて、この基板の機能を考えてみれば、入力されたアナログRGB信号をデジタルに変換して、
液晶パネルに出力するという事になる。それならば、出力が正常なら、基板は正常であり、残る
故障個所は液晶パネルになるだろう。

 液晶パネルが壊れていたら、お手上げの可能性が高いが(修理に出しても部品代が高くつく)、
できる限り頑張ってみようと思う。

 まずパソコンから信号が来ているか。オシロでピンをさわったら、OK、ちゃんと来ている。
 もういきなり、基板の出力を見てみようと思うが、その前に液晶パネルのデータシートを調べてお
く必要がある。ピンアサインがわからん。

 液晶パネルにたどりつくには、さらにネジを10本ゆるめて、裏返して4本ゆるめて、鉄板から分離
し、また裏側のアルミ板をとめているネジ6本(長いのと短いのがあるから注意)をゆるめて、
アルミ板をずらして、一部の突起部分のアルミ板を少し浮かさないとずらせないのだが、あれこれ
やって、ようやくたどりつくのである。


 LG PHILIPSのLM151X2である。LGとPHILIPSの合弁会社だろうか?

 だいたいこんな部品のデータシートが手にはいるところにあるだろうか。とりあえずgoogleで調べ
てみた。
 まずLG PHILIPSのWebでは出てこなかった。下記のところからダウンロードできる。
 http://www.goodview-digital.com/html/LM151X2.htm
 次のところからも同じデータシートがダウンロードできる。デンマークと思うがPDFそのものは
さっきのと同じで英語となっている。
 http://www.adm-electronic.de/tft_panels/lm151x2.htm
 他にもLM151X2で検索するといくつも出てくるから、データシートの入手で悩む事はない。

 というわけで、コネクタのピンアサインがデータシートより判明した。データシートの11ページに
その表がのっている。

 その表をもとにして、実際に測定した波形を示す。

ピン
番号
信号名 内容 波形 ピン
番号
信号名 内容 波形
GND DCLK
GND HSYNC
VSYNC GND
GND GND
R0 10 R1
11 R2 12 GND
13 R3 14 R4
15 R5 16 GND
17 GND 18 GND
19 G0 20 G1
21 G2 22 GND
23 G3 24 G4
25 G5 26 GND
27 GND 28 GND
29 B0 30 B1
31 B2 32 GND
33 B3 34 B4
35 B5 36 GND
37 DE 38 VDD
39 VDD 40 VDD
41 VDD

 波形はこれくらい取れば十分だろう。VDDも正常に出力されているから、もう結論は出た。
液晶パネルの故障である。
 ただ原因がわからない。何もさわっていないのに、ちょっと目を離したスキに壊れたのだから。


さらにメスを入れる

 液晶パネルを、さらに分解してみました。


 ネジの整理をしながら慎重にバラしたが、キモチ的にはもうダメという見通し75%(笑)。

 目視で丹念に調べました。細かいハンダ付けをよくやっていて、浮きとかブリッジを見つけ
るのは得意なほうです。しかし異常はありませんでした。
 チップのヒューズがひとつありましたが、切れていませんでした。チップタンタルの短絡や
焼損がないかも調べましたが問題ありませんでした。もっとも、動作中よりも電源投入時に
タンタルは焼ける事が多いんじゃないかと思います。サージに弱いので。

 昨夜、詳しい方とチャットして色々アドバイスをもらいましたが、まずコモン電源が死んでる
可能性が高いという事でした。でもそれがわかったところで、こんな部品は人間の手作業では
扱いが困難でしょう。

 家電のサービスマンに聞いた話で、よく覚えていませんが、これもハンダ付けできるらしいですよ。
私はやった事がありません。やってみれば何とかなるかもしれませんが、今回、ここは壊れていなかっ
たので試すチャンスもありません(なんなんだか)。

 クリームハンダを塗っておいて、フィルムをおさえながらヒートガンであぶればハンダ付け可能か?


 次に示すような部品はじゅうぶんにハンダ付け可能なのですが・・・。いずれにしても修理する事を
想定していないと思います。壊れたらASS’Y交換で、液晶パネル交換だと高くつくでしょう。


 それにしてもなんでしょうね、このLGマークは・・・人の顔みたいなのがユニークではあります。


 もう、この記事を書いている時点では結論が出ていたので、書くのが面倒くさくなってきましたが(笑)、
故障の原因らしい部分を発見しました。


 このように、液晶のカドが欠けています。なぜ欠けたのかはわかりません。液晶モニタの筐体のひずみや
振動によるものでしょうか。そういえば、机の上をたたいたりすると、押したような模様が画面のカドに
見えることがありました。そういう歪みが液晶パネルに伝わらないようにする配慮が、設計上、足りなかった
のかもしれません。

 あるいは、私が分解するときに、もともと爪が誤ったところに差し込まれて抜けにくく、力をいれて引っ張った
ときに割れたのかもしれません。

 このどちらかだろうと思いますが、前者の可能性が高いかもしれません。振動などでストレスが繰り返しかか
って、ついには割れてしまったのではなかろうか、と。


 ところでうちの掲示板に「とおりすがり」の方が貴重な情報をお寄せ下さいました。秋葉原某所で、液晶
パネルを売っているところがあるそうです。参照
 これは想像できませんでした。単品では入手困難だとばかり思いこんでいました。情報ありがとうござい
ました。

 だけど、もう遅かった!! この書き込みは昼頃のものですが、すでに朝から液晶モニタはバラバラにして
ゴミ袋につっこんできました・・・・・・残念であります。

 いろいろ考えましたが、液晶モニタは1台でじゅうぶんでしょう。久しぶりにフェイス(パソコンショップ)の
商品一覧を見たら、VGA&PS/2の切り替え器があり、さっそく注文しました。送料込みで5000円ぐらい
ですから、まあまあでしょう。
 2画面を同時に見る必要だって、考えてみれば無いし、モニタ1台を切り替えて使えばじゅうぶん。











おまけ

 「BOOK−PC BK630e」の電源メンテナンス記録

 このパソコンは2年前に、液晶モニタと同時に購入したもので、拡張スロットはひとつも無いし
メインRAMはビデオRAM共用で遅い。内蔵のCD−ROMドライブは専用で、奥行きが短く作ら
れているから、もしこいつが壊れたときに一般のCD−ROMドライブと交換する事はケースの構造
的に困難である。
 モデムとLANが内蔵されているが、モデムはパルスダイヤル非対応だったから全く使っていな
い。

 見た目はまるでCDプレーヤか何かのようだが、小さいし、縦置きのスタンドも付属していたし、
安かったわりに操作しやすいキーボードとマウス付属なのが良かった。サブマシンという位置づけで
考えていたが、設置スペースをとらないのでメインで使うようになっていた。
 なんだかんだ言っても、USBは前後にあわせて4つもあるし、スキャナにデジカメにUSBマウスに
と、あれこれつなぐのに便利だ。

 なお、最初は不治痛HDDだったため、1年ほどで壊れました。参照

 ちょうど上記の不治痛HDD故障の頃から、電源の立ち上がりがおかしくなっていました。電源ボタン
を押しても、すぐに起動せず、モタモタするというか、実際に起動するまで1〜2分かかるような状態に
なりました。何度かリセットがかかっているような感触でした。
 デジカメLV−20をUSB接続していると、起動時に何度も、ピーッ、ピッ・・・ピッ、ピッ・・・・・・と鳴り、
電源が入ったり切れたりしているような様子でした。
 最近は特にひどく、なかなか起動しなくなっていました。

 電源をコンセントに接続したままにしておけば、2回目からの電源投入は、スムーズでした。このパソ
コンは、電源が常時通電されていて、モデムやLANの信号で起動することを想定しているのでしょう。
OFF状態(表向き)でも、電源のあたりをさわると暖かいです。

 うちは電気代節約のため、おおもとのテーブルタップのスイッチを、外出時や就寝時にOFFにしてい
ます。そのため、暖まっていないせいか、帰宅時や朝一番に起動に時間を要し、まるで昔の真空管テレビ
のように、トイレにはいる前に電源を入れて、トイレを出た頃に起動完了しているような、そんな状態で
今日まで使ってきました。

 こんなふうに、低血圧で寝覚めが悪いパソコンですが、今日までだましだまし使ってきました。しかし
よく考えてみれば電源に何か問題があることは想像できます。あとは、やる気だけで・・・今日は休み
で、ちょっとヒマがあるし、修理する事にしました。


-----------------------------------------------------------------------------------
 つい先日、PC-9801DSが起動しなくなり、修理して復活させました。開発環境の関係で、どうしても
PC-9801は1台だけ残しておく事になっていたんですが、いざ使おうとしたら電源が入らなくなっていました。
連動コンセントのモニタは電源が入ったので、これはパソコンの電源が死んでるなと思ったのです。
 原因は電解コンデンサの液漏れと、抵抗のオープンでした。電解コンデンサはルビコンのSSPシリーズ
でした。現在では廃品種です。−55〜+105℃規格品です。
 電源ボックス内部には2枚の基板がありました。そのどちらも修理が必要でした。
 PSA10043-2AM PKG2基板
     C23 50V 4.7μF
     CX1 50V 0.47μF
     C12 50V 10μF
     C39 25V 47μF
     CX6 50V 1μF
 PSA10043-1AM PKG1基板
     C13 63V 47μF

 抵抗の番号は記録を忘れましたが、PKG2基板のフォトカプラの近くの10KΩでした。最初にすべての
電解コンデンサを交換しても動かず、電解液がしみこんでいそうな抵抗を片っ端から抵抗値をあたって
ようやく10KΩがオープンになっているのを発見したものです。
 基板に実装されている抵抗をそのままテスターで測定すると、そのカラーコードの値と同じか、
それ以下の値を示すのがほとんどだと思います。もし異常に高い値を示したら、断線を疑って
片足を浮かせてから、改めて測定しなおして確認します。

 電源ユニットの出力の配線が出ている部分、コネクタのように見えますが端子を直接ハンダ付けする
ための固定用のハウジングと思います。ここで1本の端子が、近くの電解の液漏れのせいで腐食して
折れて抜けました。その線をむいてハンダ付けし直そうとしたら、心線にまで電解液が浸透していて、
はんだごてを当てるとジュッと音がして、例のクサイ臭いがしました。ションベンくさいというか、何というか。
-----------------------------------------------------------------------------------


 警告: 電子機器、とくに電源の修理は危険が伴います。電源ボックスに封印シールが貼られていたり
      分解を禁止する文面があるのは冗談ではありません。
      ここの記事を読んで皆さんが修理に挑戦する事を推奨するものではありません。
      発煙、火災、感電、故障、などの危険が有る事を警告します。


 電源は電解コンデンサが重要です。こいつが寿命を決定していると言っても過言ではありません。
 とくに今回の機種は、電源ボックスの温度が高いため、電解コンデンサの寿命への影響が気になります。
室温26℃のとき、ファン吹き出し部分での温度を放射温度計で測定したところ、50℃前後でした。

 BOOK−PCであり、小さい筐体にギッシリと部品を詰め込んでいるために、ただでさえ放熱が多いのに
この電源ボックス自体の発熱も大きいようです。

 これが電源ボックスです。規格品ではなく専用のものです。

 MODEL PS−100
 AC INPUT:100V − 240V AUTO  2A 60/50Hz
 +12V、5VSB TOTAL NOT EXCEED 54W
 (FOR CE−98 HARMONIC REGULATION)
 CAUTION! HAZARDOUS AREA (警告!冒険的エリア ・・・和訳ソフトがアホやな)
 Do not open. (あけるな)
 Trained service personnel only. (サービスマンしかさわれないという事ですな)
 No user−servicable components inside. (一般人の修理できる部品はねーよ)
 中國製造 Made in China

 配線の色分けも書いてあります。
               黄色 +12V 6A
               紫色 5VSB 1.5A
               黒色 GND
               緑色 PS−ON#

 普通のATX電源なら+12Vよりも、3.3Vとか5Vのほうが電流容量が大きいものですが
こいつは5Vが小さいですね。SBはスタンバイ電源という意味かもしれません。
 じつはマザーボード上にも電源回路の「続き」(?)があって、そこで色々な電圧を作り出して
いるようです。インダクタやらトランジスタやら並んでいます。

 ”OUTPUT”は中国語で「輸出」なのか。
 HARMONIC REGULATIONとは?


 いろいろベタベタと貼られたシール。


 製造は2001年4月のようである。
 BURN−IN O.K.
 HI−POT O.K.
 Hi−pot Grounding OK
 TEST OK
 ・・・などのシールが貼られている。

 FQC PASSEDというのは、ファイナル・クオリティ・チェックにパスした、という
意味でしょう。


 そして、これは内部の電解コンデンサのリスト。今後のメンテのために自分で
記入した。赤い字は、今回在庫がなくて代用したもの。


 EC1  120μ 400V
 EC2   47μ  50V
 EC3   10μ  50V
 EC4  100μ  25V
 EC5 2200μ  10V
 EC6 1000μ  10V
 EC7 2200μ  16V
 EC8 1000μ  16V

 ちなみにこれらのコンデンサのメーカーは、TEAPOG−LUXONである。
G−LUXONとは、グループLUXONの略らしい。
 データシートを見たら、どれも105℃2000時間保証品だった。

 この際だから、すべて日本製のコンデンサと交換する事にした。プレステの電源とか、
外付けCD−ROMドライブなどからはずした電源基板から部品取りをして、こいつに臓器
移植した。

 しかし一部の部品については、手元に在庫がなかったため、外観検査で問題なければ
そのまま継続使用する事にした。120μ400Vは、手元にあったものは太くて使えなか
ったため、100μ200Vのやつ(プレステ出身)を使用した。このBOOK−PCは、240V
でも使える仕様だが、ここで電解を200Vにしたため、100V専用となった。まあ外国に
持っていく事もあるまい。


 ここが問題箇所!!

 この放熱板が非常に熱くなります。それなのに、スペースの都合上やむを得なかったのかも
しれませんが、それに接近して電解コンデンサが配置されています。これじゃ、わざわざ焼いて
寿命を縮めているようなものです。実際にここの電解のみ、安全弁が破裂寸前になっていまし
た。その写真を次に示します。(部品番号EC8)

 あと気になったのは、あちこちの部品がボンドで固定されていることでした。キタナイです。
熱のせいか炭化して黒ずんだり、パリパリになっている部分もありました。
 以前聞いた事があるのは、ある種の接着剤はハロゲン系のガスが出るため、電解コンデンサ
に悪影響を与えるそうです。


 これがダメになっていた電解コンデンサ(EC8、2200μF16V)です。

 写真がヘタでごめんなさい。角度をかえて撮ってみましたが、安全弁の膨れ具合が上手に表現できま
せんでした。

 これと同じ容量のコンデンサがなかったため、応急処置として1000μFのものを使いましたが、特に
問題は起きていません。起動時のトラブルはまったく無く、スムーズに起動するようになりました。


 同じ機種を持っている方は、1年ぐらいで不調になり2年で壊れているかもしれません。なにしろ電源の
発熱が大きいのです。OFF状態(見かけ上)でも、電源ボックスは常時通電のため最高50℃ぐらいに
なっています。OFF状態ではファンは回りません。
 ON状態では、さらに、内部の発熱部品からの熱がこの電源ボックス経由で外部に排出されるわけで
すから、その分、温度が上がってしまいます。

 専用電源ですから、壊れても同じものは売っていません。
 BOOK−PCは部品が詰め込まれているため放熱が悪く、寿命は短い傾向にあると考えます。

[完了]



追伸: 今度は先日壊れたク○ーテックの電源を修理したいです。電源ボタンを押しても電源が入らず
    チッ、チッ、チチッ、というブキミな音がします(笑)。

戻る